2024年(令和6年)は「うるう年(閏年)」。お墓を建ててダメなら、家も車も買えません。
うるう年(閏年)にまつわる噂
今年2024(令和6)年はうるう年(閏年)。通常28日までしかない2月が1日増えて29日までとなりますね。このうるう年に「お墓を建ててはいけない」という噂がまことしやかに流布しているそうですが、結論から言ってしまうと、それは単なる迷信に過ぎません。なぜ迷信と言い切れるのかについても、明確な理由があります。本トピックでは、そのような噂が生まれた背景と、うるう年にお墓を建てても全く問題ない理由を詳しくご説明します。
太陰暦とは?
江戸時代に遡ると、日本では現在の太陽暦ではなく「太陰暦」が用いられていました。地球が太陽の周りを公転する周期に基づく太陽暦に対し、太陰暦は月の満ち欠けすなわち公転周期に基づいた暦です。月は地球の周りを公転しており、29.530589日という、いかにも中途半端な日数をかけて1周します。この1周を1か月とするわけですが、あまりに半端なため、太陰暦では30日の月(大の月)が年に6回、29日の月(小の月)が年に6回と定められ、1年は354日ということになっています。太陽暦の1年が365日(うるう年は366日)ですから、11日もの差があることになります。
暦と季節のズレに対する対応
これを続けると、暦と季節とがどんどんズレていってしまいますよね。ある年は3月に桜が咲いたのに、何年後かには7月に咲く、などというのではややこしくて仕方ありません。特に農業を営む上でこのズレは厄介です。太陽暦の場合はそのズレが年間約0.24日なので、4年に1度うるう年を設け1日追加するだけで調整できるのですが、ズレが大きい太陰暦ではそうもいきません。イスラム世界の場合
かつてのイスラム世界では、暦と季節とのズレを調整せずそのまま受容した「純粋太陰暦」が用いられていました。3年に1度うるう年が設けられ、1年が355日になりますが、これは太陰暦の1年が正確には354.36707日であることによるズレを修正するためのものです。従って、暦と季節は毎年11日ずつズレ続けますが、33年でほぼ元に戻ります。日本の場合
年に11日のズレは、3年で33日になります。ですから日本では、およそ3年に1度、正確には19年間に7度の割合で、うるう月(閏月)としてひと月を加えました。うるう月がどこに加えられるかというのは都度まちまちで、例えば6月の次にうるう月がくる場合、その月は「閏(うるう)6月」と呼ばれます。「13月」という月が加わるわけではありません。このように、太陰暦の中でも暦と季節のズレを調整するためにおよそ3年に1度「うるう月」を加えるものを「太陰太陽暦」と呼びます。誤解の始まりは江戸時代の武士階級から
当時の武士は、月給制ではなく年俸制でした。1年分の俸禄(給料)を一度にまとめて受け取るわけですが、この額はうるう年だからといってその分増えるというものではありませんでした。例年と変わらない給料で、ひと月も余分に暮らさなければいけないわけですから、当然贅沢はできません。各藩主は自らの家臣に、お金のかかる家具の新調や仏壇、お墓の購入を控えるよう命じたと言われています。それが「うるう年にお墓を建ててはいけない」という噂として残り、本来の理由については語られることのないまま現在に至っているというのが真相のようです。うるう年にまつわる誤解を斬る!
まず第一に、「お墓や仏壇だから」ということではなく、どんなものであれ「大きな出費を控え倹約しましょう」というのが趣旨なんですね。ですから、お墓や仏壇を購入するのがダメなら、車や家を購入したり、海外旅行に出かけたりするというのも縁起が悪い、ということになってしまいます。第二に、今のうるう年は太陽暦のもと、例年よりたった1日多いに過ぎません。年俸制であれ月給制であれ、1日増えたからといって劇的に出費が増えようはずがありません。
以上の理由から、現代社会において「うるう年にお墓を建ててはいけない」というのは全く意味を成さない迷信に過ぎないことがお分かりいただけたと思います。不安に感じていた方は、どうかご安心ください。
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